C.試作システム用スターリングエンジンの選定
本事業では、高圧燃焼技術、排ガス凝縮技術、さらには海中排出技術等の確立により、スターリングエンジンを使用した海中動力源のシステム全体としての開発を目的としており、そのエンジン本体に対しては既存のものを使用する計画である。
このため、本試作システムにて使用するスターリングエンジンとしては、試作システムの実用機への展開等も考慮すると、既存の、しかも実用性・信頼性及び製品性の高いエンジンが望ましい。
このことを念頭に、試作システムに使用する既存スターリングエンジンの選定を行う。
表3.1.1−3の比較表は、前述のスターリングエンジンの開発例において、各機種(メーカ)のスターリングエンジンに対する主要諸元性能を比較したものである。
国内にて実用化に展開している機種としては、前述のアイシン精機が、ムーンライト計画にて開発した30kW級”NS30A”を実用化に展開し、20kW級スターリングエンジン”ASE20S”を開発・製品化している。また、三菱電機も、同じムーンライト計画にて開発した3kW級”NS03M”を実用化し、ヒートポンプ用として6kW級のスターリングエンジンを開発している。
一方、諸外国の機種については、多くの企業にてスターリングエンジンの開発が行われているが、その実用性という点ではスウェーデンのKockums社が群を抜いている。特に同社の”V4−275R”は、海中動力源としての使用実績も持ち、実用性として高いレベルにあると考えられる。
上述のように、その実用性の高さを観点に既存スターリングエンジンを選定すると、以下の3機種が候補となる。
・アイシン精機:ASE20S
・三菱電機:NS03M実用型(機種名は不明)
・Kockums社’’:V4−275R
一方、上記スターリングエンジンの出力規模の点から考えると、”NS03M”実用型の出力は約6kW級であり、”ASE20S”及び”V4−275R”が数十kWオーダーであること、及び実機適用時において要求される出力が、適用する潜水機種の規模やオペレーション内容にもよるが、数十kWのオーダーである見通しが高いこと等を考えると、試作システムにおいても、数十kWオーダの出力を発揮するエンジンを選択すべきである。
また、エンジンの構造・形式についても、”ASE20S”及び”V4−275R”が数十kWの大出力用に適した複動式であるのに対し、”NS03M”実用型は小出力エンジンに適するディスプレーサ型であり、実機適用エンジンと形式が異なる可能性が高い。これらのことを考慮すると、本試作機に適用するエンジンとしてNS03M実用型は形式や出力の点で不適当と判断される。
これより、試作システムに適用するスターリングエンジンの候補機種とし
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